一昔前なら、「Windows専用ソフト」というがけっこうあり、MacユーザーといってもWindowsをもう一台確保しておく、というのは珍しくありませんでした。しかし、今ではブラウザ上で動作するアプリが多くなり、ChromeやFirefoxを使っていれば環境の違いはほとんど意識されなくなりました。また、EvernoteもDropboxもMac版が利用でき、使い方にも特に違いはありません。いちおうMac版のOffice(Office for Mac 2011)も発売されており、単純なWordやExcelファイルであれば、PagesやNumbersよりもはるかに互換性が高く、ストレスなく使うことができます(MacのOSがYosemiteになって不具合も多いようですが…)。
プリンタやスキャナなどの周辺機器もMac用のドライバがリリースされ、問題なく使用できるものがほとんどです。また、Macは標準でBlu-rayには対応していませんが、外付けの光学式ドライブと読み込み&書き込みソフトを別途用意すれば対応可能です。数は少ないですが、地デジを視聴するためのチューナーも各社から販売されています。
ですから、日常的な使い方に関していえば、Macを使っていて不自由することはあまりないといえます。
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Windowsがないと不便な作業
個人的にMacを使っていて、Windowsがないと不便だなと思えるのは、Excelファイルの扱いです。

2015年3月28日現在、Macには「Office for Mac 2011」というパッケージ版と「Office 365 Solo」というサブスクリプション版の2種類が用意されていて、いちおうMacでOfficeを使うことができます。上はMac版Excelで結婚式の見積書を開いたところで、特に問題なく動作します。
2015年3月28日現在、Macには「Office for Mac 2011」というパッケージ版と「Office 365 Solo」というサブスクリプション版の2種類が用意されていて、いちおうMacでOfficeを使うことができます。上はMac版Excelで結婚式の見積書を開いたところで、特に問題なく動作します。
また、2015年後半には「Office for Mac 2016」 が発売される予定で、現在プレビュー版がMicrosoftの公式サイトで公開されています。
サブスクリプション版の「Office 365 Solo」は最新版のOfficeがMacでも使えますが、記事執筆時「Office for Mac 2011」が最新版なので、結局それがインストールされることになります。
私はパッケージ版(ダウンロード版もあり)をインストールして使っていますが、一覧表や請求書など、単純な表であれば何の問題もありません。業務でも普通にこれで通しています。Windows相手にMac版Officeで作った表を送っても特に問題はないようです(クレームが来たことはありません)。
ただし、マクロで組まれたファイルはうまく動作しなかったり、そもそも開けないものも存在します。上は、確定申告用にいつも利用している「フリーランスのための超簡単!青色申告」という解説書に付いてくる申告ソフトを、「Office for Mac 2011」で開いたときの様子です。
この本の申告ソフト(Excelファイル)は、Macでは読み取り専用でしか開けません。表示もおかしい上、そもそも編集ができなければ会計ソフトとしては使えません。こんなときには、どうしてもWindowsを使わなくてはならなくなります。
また、国税庁のe-Taxソフトは、Macの対応が遅れていて、いまだにサポートしていません。
他にも、ドラクエ10などの人気ゲームを遊びたい場合もWindowsがないと不可能です(BootCampでの動作報告もありますが、不具合も多いようです)。PCゲームは正式なMac版が出るまで満足に遊べないといえそうです。
MacでWindowsを使うための2つの方法
というわけで、たまにしか使わないOfficeのために、Windowsパソコンを一台買うのは割に合いません。というのも、ご存じのように、Intel系のMac(2007年以降に出たMac)ではWindowsを動作させることができるからです。その方法とは次の2つ。
- BootCampを使う
- 仮想化ソフトを使う
BootCampを使う場合
BootCampとは、簡単にいうと、Macの内蔵ストレージにパーティションを切り、そこにWindowsOSをインストールできるというMacの標準機能です。Macのハードウェアをフルに流用しますので、ネイティブスピードでWindowsパソコンを使っているのと変わりません。Windows版のOfficeや一般的な周辺機器ならばっちり動作します。

Windowsのインストールは、Macの[アプリケーション]→[ユーティリティ]→[Boot Campアシスタント]から行えます。
Windowsのインストールは、Macの[アプリケーション]→[ユーティリティ]→[Boot Campアシスタント]から行えます。
BootCampの強みは、一台のMacでほぼ完動するWindowsが使え、専用の周辺機器も動作するという点でしょう。
注意点は
- Blu-rayや地デジなどデジタル著作権管理された機器やソフトは、ディスプレイと一体型のMac=MacBook Pro、MacBook Air、iMacでのみ動作するという点(MacPro、Mac Miniは不可)。
- 内蔵ストレージにWindows用のパーティションを切らなければならないため、ストレージの空き容量が気になる点。
- Macのキーボード配列と異なるため、快適に使うには最低限、Windows配列のキーボードを別途用意した方がいいといったところ。
加えて、最新版のMacでは、BootCampがサポートするWindowsOSが徐々に減り、MacBook Pro(13インチ、Early 2015)、MacBook Air(13インチ、Early 2015)、MacBook Air(11インチ、Early 2015)はWindows 7のサポートを打ち切り、Windows 8(64bit)のみへの対応が公表されています。
仮想化ソフトを使う場合
一方、仮想化ソフトとは、簡単にいうと、Mac上で「ソフト的にWindowsを動かす」ためのソフトです。ソフト的に動作させるため、Macを使いながらWindowsが使え、キーボードもMacのショートカットがそのまま使えます。OSを切り替えるのに、本体再起動の必要はありません。
代表的なものに「Parallels Desktop」や「VMware Fusion」があり、私は「Parallels Desktop」を7年ほど愛用しています。
仮想化ソフトは、BootCampと違ってソフト的にOSを動かすため、動作のもたつきなどが懸念されますが、経年劣化したHDDにインストールするならともかく、SSDを積んでいる最近のMacではその点はほとんど気にならなくなりました。個人的にはOfficeを使いたいだけですが、WordもExcelもきびきび動きます。もちろん、マクロで組まれたExcelファイルもばっちりです。
また、USBポートや光学式ドライブもMacのものが共有でき、プリンタやスキャナなど一般的な周辺機器なら問題なく動作します。例えばe-Taxで必要な住基カードを読み取るICカードリーダーなどもOKです。ただし、Blu-rayや地デジなどハードウエア的に著作権管理された機器を、仮想的に動作させるのは困難なため、使えないと考えるのが普通です。

こちらは「Parallels Desktop 10」を使い、Mac上でWindows 7を動作させている様子。
こちらは「Parallels Desktop 10」を使い、Mac上でWindows 7を動作させている様子。
仮想化ソフトのメリットは、BootCampのように内蔵ストレージにパーティションを切る必要がない点です。WindowsOSが消費しているぶんだけしかMacのストレージを食わないのです。たまにしか利用しないWindowsに何十GBもパーティションを割り当てるBootCampとは異なり、仮想化ソフトならば使っているぶんだけ(例えば15GB程度とか)しかMacのストレージを消費しません。基本的に1つのストレージしか搭載しておらず、あとから変更もできない現行のMacシリーズにはありがたい仕様でしょう。
さらに、仮想化ソフトは、WindowsXP、7、8、または何バージョンものOS Xなど、複数のOSをいくつもインストールして、Mac上で動作させることも可能です。いまだXP環境が必要な方や最新のOS Xを仮想的に試してみたいといった場合に役に立ちます。
まとめ:BootCampと仮想化ソフトはどちらがオススメ?
結論からいうと、最近のMacを使い、地デジやBlu-ray、3Dゲームなどにこだわらなければ、仮想化ソフト「Parallels Desktop」がオススメです。これにDPS版のWindows8.1などと最新のOfficeをインストールすれば、ビジネスにもまったく問題なく使えるでしょう。
多少コストがかかりますが、Windowsパソコン一台買うよりもはるかに安価です。何より、「ちょっとした動作確認のためだけに」、Mac本体を再起動してBootCampを立ち上げる手間もありません。
Parallels Desktopはバージョンアップが頻繁に行われ、不具合の解消にも積極的です。困ったときにはサポートに連絡し、対処法を知ることができます。
最後に、BootCampとParallels Desktopのメリット・デメリットをあげておきます。
BootCamp
メリット
- Macのハードウェアをフルに利用して、ほぼ完全にWindowsが動作する
- ディスプレイ一体型のMacBook Pro、MacBook Air、iMacなら地デジやBlu-rayも楽しめる
- 3Dのハイクオリティゲームも遊べる(ただし、不具合が生じることもある)
デメリット
- Windows用のキーボードを別に用意しなければ使いづらい
- Windowsを使うために、いちいちMac本体を再起動しなければならない
- たまにWindowsを起動すると大量の更新ファイルがあり、その間Macが使えない
- Macの内蔵ストレージに数十GBのパーティションを切らなければならない
- 32bit版Windowsしかインストールできない古いMacではメモリを2GB程度しか認識しない
- MacのモデルによってインストールできるWindowsOSが異なる(参考:https://support.apple.com/ja-jp/HT5634)
Parallels Desktop
メリット
- Macを使いながらWindowsが使える
- MacのキーボードやショートカットがWindowsで使える
- SSD上なら動作はかなり快適
- Windowsで使っているぶんしかMacのストレージを消費しない
- Windowsの仮想マシンを外付けディスクにコピーできる(外付けからマウントも可能)
- 古いOSから最新のOSまでいくつもインストールできる
デメリット
- 導入コストが多少(7,000円ほど)かかる
- バージョンアップにコスト(5,000円ほど)かかる
- 地デジやBlu-rayなどハード的に著作権保護された機器は使えない
- 3Dゲームをバリバリ遊ぶには不向き
現在、Macユーザーで「Windows使いたいけど、どうしよう?」とか、今Windows使ってるけど「Macがほしい!でも、Officeが使えないから諦めよう」などと考えている人がいたら、こうした方法もありますよ、という提案でした。
現在、Parallels DesktopはWindows 10にも対応しています。導入を検討している方には、以下の組合せでソフトを揃えるのがオススメです。
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