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iTunesからApple Musicの利用を開始すると、初めに「iCloudミュージックライブラリ」へ楽曲データがアップロードされ、マッチングが行われます。

これにより、今までパソコン内に保存していた膨大な楽曲データが、クラウド上へとコピーされることになります。すると、「クラウドの曲とローカルの曲がごっちゃになる」という問題が発生します。Apple MusicでMy Music(マイミュージック)に追加したアルバムやプレイリストが、一緒くたになってiTunesの画面上に表示されてしまうのです。

で、その曲を「全部自分のもの」だと思っているうちに、Apple Musicの無料トライアルが終了します。すると、どうなるでしょう?その状況は、iTunesからサインアウトすることで、だいたい予想できます。
 
Apple Music解約後の制限
  • Apple Musicで提供される数百万曲にアクセスできなくなる
  • 「Apple Music」フォルダにダウンロードした曲を再生できなくなる
  • 「iCloudミュージックライブラリ」の曲が表示されなくなる
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サインアウトすると、それまでiTunesに表示されていた曲がごっそりと消えてしまいます。

2015年10月4日、実際にどのような変化があったか確認しました
参考1:Apple Musicの無料トライアル終了後、iPhoneの「My Music」がどう変わるのか確認してみた

参考2:Apple Musicの無料トライアル終了後、iTunesライブラリがどう変わるのか確認してみた

そうした幻のような曲と、実際にCDから取り込んだ曲などがごっちゃになっている状態が、Apple Musicのサービスを利用している最中に起こっています。何かの手違いで、Apple Music上の曲を消そうとして、間違えてiTunesローカルの曲を消してしまう、ということも考えられます。現に、私はあるアルバムから1曲を消してしまい、慌ててダウンロードしたのですが、その操作によって、iTunesローカルの曲とApple Musicの曲が入れ替わる、という事態に陥りました。

この記事ではそうした痛い経験を踏まえ、
  1. Apple MusicとiTunesローカルの曲の見分け方
  2. Apple MusicとiTunesローカルの曲の保存場所の見分け方
  3. マッチングで変換される可能性のある曲の把握方法
  4. オリジナルデータのバックアップ方法
  5. 間違ってオリジナルデータを消してしまった場合の対処法
といった、Apple Musicサービス解約後に自分のデータを失わないための基礎知識や対処法を紹介します。
 

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【対処法1】クラウドとローカルの曲を見分ける

まずはApple Musicライブラリ上にあるクラウドの曲、iTunesライブラリ上にあるローカルの曲を見分ける方法を紹介します。

クラウドの曲には雲のマークが付いている

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楽曲リストの右端やアルバムの右下などに、「雲のマーク」が付いているものは、Apple Music上=iCloud上にある曲を示しています。iTunes上ではローカルの曲と同じように表示されていますが、実際にはダウンロードされておらず、ストリーミング再生になります。

iTunesローカルの曲には雲のマークがない

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一方、iTunesローカルの曲には雲のマークは付いていません。これらはCDからリッピングしたり、ストアで購入したりしたもので、ハードディスク上に保存されています。

クラウドの曲はダウンロード、削除、再ダウンロードが可能

Apple Musicに加入している間は、クラウドの曲は聴き放題&ダウンロードし放題です。

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雲のマークをクリックすると、ハードディスクに保存してオフラインで再生可能です。

また、プレイリストや曲のアートワークを右クリックして「ダウンロードしたものを削除」を選択すればまとめて削除が可能です。削除してもその曲は、Apple Musicに加入している間は、もう一度雲のマークをクリックすることで、何度でも再ダウンロードが可能です。

ただし、だからといって、パソコンでダウンロードしまくるのは推奨しません。というのも、雲のマークをクリックしてダウンロードしたApple Musicの曲は、その時点でローカルの曲に変わるため、元々自分が持っていた曲と区別しづらくなるからです。また、元々自分が持っていた曲を削除して再ダウンロードした場合は、オリジナルがクラウドの曲に入れ替わります(【対処法2】参照)。

【対処法2】クラウドとローカルの曲の保存場所を見分ける

上記の方法で、クラウドの曲をダウンロードした場合、「Apple Music」という名称のフォルダに、保存されるようになります。これは元々自分が持っていた曲が保存されている「Music」フォルダとは区別されています。

「Apple Music」フォルダと「Music」フォルダ

WindowsもMacも、「ミュージック」→「iTunes」とフォルダを開いていくと見つかります(「iTunes Media」フォルダの中にある場合も)。

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左の「Apple Music」フォルダにクラウドからダウンロードした曲が保存され、右の「Music」フォルダには元々自分が持っていたオリジナルの曲が保存されています。

この違いはぜひ区別できるようにしておいてください。なぜなら、冒頭でも触れたように、iTunes上では区別されずに、一緒くたに表示されるからです。

もちろん雲のマークが付いているかどうかで、クラウドとローカルの曲を区別することができました。しかし、CDからリッピングした曲は、実際にはクラウドにアップロードされています。つまり、同じ曲がクラウドとローカルの両方に存在していることになるわけです。

ということはつまり、Apple Musicに加入している限りは、2つの領域に自分の曲を共存させることができて便利なわけですが、だからといってローカルの曲を削除してしまうと、解約後にその曲にはアクセスできなくなるわけです。

CDから取り込んだ曲を削除した後、Apple Musicを解約すると?

リッピングしたCDの曲は「Music」フォルダに保存されると同時に、カタログとのマッチングが行われ、「iCloudミュージックライブラリ」にアップロードされます。結果、2つの領域に保存されることになりますが、ローカルにあるため、iTunes上で雲のマークは付きません。

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で、試しに「クラウドにも保存されているから削除してもいいや」という感覚で1曲削除してみましょうか。右クリックして「ダウンロードしたものを削除」を選択します。

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すると、ローカルから曲が削除されましたが、クラウド上には残っているため、1曲だけ雲のマークが付きます。これをクリックすると再ダウンロードでき、雲のマークが消えます。

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曲はどこに保存されたのでしょうか?もともとローカルにあった曲だから「Music」に保存されるような気がしますが、クラウドから再ダウンロードした曲なので、「Apple Music」フォルダに保存されます。
 
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では、元々ローカルに保存されていたアルバムはどうなっているでしょうか?「Music」フォルダを開いてチェックすると、1曲だけ足りません。

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しかし、いちおう全部ローカルに保存済みなので、iTunes上には「1枚の完全なアルバム」として「雲のマークなしで」表示されるのです。実際には、同じアルバム内の曲が「Apple Music」と「Music」という2つのフォルダに分散されて保存されています

Apple Musicを契約している間はそれでもいいかもしれません。しかし、このフォルダが分散された状態で、解約した場合はどうなるのでしょうか?

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iTunesからサインアウトすると、先ほどまで表示されていた「1枚の完全なアルバム」から1曲が消えました。これは先ほど再ダウンロードして「Apple Music」フォルダに保存したはずです。

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「Apple Music」フォルダを開くと確かに曲は存在していますが、ここに保存された曲データには、すべてデジタル著作権保護(DRM)が付与されています。元々自分が持っていた曲であるにもかかわらず、再生できなくなってしまう可能性があるわけです。その場合はもう一度CDから取り込み直す必要があります。ですから、間違っても右クリックから削除を実行しないようにしましょう

【対処法3】変換される可能性のある曲を把握する

iTunesから自動的にアップロードされた曲は、Appleの定める基準にもとづいて変換され、DRMが付与される場合があります。詳細は別記事で検証していますので、気になる方はご参考に。で、ここでは簡単に、どんな曲が変換され、DRMが付くのかを紹介します。
 
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CDから取り込んだ曲は、高音質であれ低音質であれ、カタログとマッチした場合はDRMが付きます。カタログとマッチしなかった曲にDRMは付きませんが、高音質の曲は256kbps ACCに変換されてしまいます。

とはいえ、変換されDRMが付いた曲はクラウド上にあるため、ローカルのオリジナルはそのままです。従って、解約後に損をしないための心構えとしては、やはりなるべくオリジナルを削除してしまわないように注意することが重要です。

以下、手持ちの曲でAppleのカタログとマッチングされたかどうかを見分ける簡単な方法を紹介します。

マッチされた曲をアーティストページから調べる

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iTunesで「マイミュージック」をアーティスト表示にして何か曲を開くと、そのアーティストのページが開きます。「すべて」を選択すると、Apple Music内で聴き放題になっている曲やアルバムが表示されるので、自分が持っている曲があれば、十中八九マッチしています。

マッチされた曲をファイル情報から調べる

マッチされたかどうかを確実に知りたい場合は、iTunes内の曲を右クリックして「プロパティ」(Macは「情報を見る」)を選択します。ここで「ファイル」欄にある「iCloudの状況」をチェックしましょう。

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この欄で「Apple Music」と記載されている曲はマッチしているため、曲をクラウドから再ダウンロードすると、青色で示したように「FairPlay 2」というDRMが付いてくるので要注意です。ただし、オリジナルを削除しない限り、再ダウンロードにはなりませんので、繰り返しますがその点ご注意を。

【対処法4】オリジナルデータのバックアップを必ず取る

クラウドとローカルがごっちゃになって、意図せず曲を消してしまうこともあり得ます。そうならないうちに、事前にオリジナルデータのバックアップを取っておきましょう。バックアップがあれば、誤って消去しても復活させられます(後述)。

1.iTunes Storeから購入した曲をまずダウンロード

購入した曲は制限なしにクラウドからダウンロードできるのですが、Apple Musicのカタログがめちゃくちゃな曲があり、一度削除してしまうと元に戻らないことがあります。

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ですので、iTunesのアカウントをクリックして「購入したコンテンツ」を開き、iTunes Storeから購入した曲をすべてダウンロードしておきましょう。これらの曲は、CDから取り込んだ曲と同じ「Music」フォルダに保存されます。

2.「Music」フォルダをバックアップする

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ストアの購入曲を含めたオリジナルデータは「Music」フォルダに入っていますので、最低限これを外付けHDDなどにドラッグしてバックアップしておくと安心です。「Apple Music」フォルダはサービス解約後、再度利用したくなったときに必要だと思いますので、念のため両方バックアップしておくとよいでしょう。

【対処法5】間違ってオリジナルデータを消してしまったら?

間違えてオリジナルの曲データを消してしまったと気づいたら、まあ落ち着いてバックアップしていたデータを取り出しましょう。以下のようにして、復活させられます

1.カタログがおかしな曲は削除する

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「不明なアルバム」などと変な表示になった曲は右クリックして「曲を削除」しておきます。

2.バックアップを「Music」フォルダに戻す

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外付けHDDなどから消えてしまった曲のバックアップを、その曲が元々あった「Music」フォルダ内の階層にコピーして元に戻します。

3.曲データをライブラリに追加し直す

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iTunesのメニューからWindowsの場合は「ファイル」→「フォルダーをライブラリに追加」(または「ファイルをライブラリに追加」)を選択します。Macは「ファイル」→「ライブラリに追加」を選択します。

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ダイアログが開くので、手順2でコピーし直した「Music」フォルダ内の曲を、フォルダの場合はフォルダごと、ファイルの場合は全部選択して「開く」をクリックします。オリジナルが削除された曲から雲のマークが外れ、カタログ情報が更新されて元に戻ります。
ただし同じ曲やアルバムでも、iTunes StoreとApple Musicでカタログが微妙に違っている場合は、iCloudミュージックライブラリで同期すると、「不明なアルバム」として表示されてしまうことがあります。Appleのカタログが統一されるまで、これはどうしようもないかもしれません(2015年7月23日追記)。

まとめ:結局バックアップしておくのが一番確実

なんだかんだと、いろいろ説明しましたが、結論は2つしかありません。
  • iTunesローカルのオリジナルデータは消してはならない
  • 定期的に「Music」フォルダをバックアップしておく

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