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iPhoneやiPadなどのデバイスでApple Music(アップルミュージック)の利用を開始すると、まず最初に「iCloudミュージックライブラリ」をオンにしてください、というメッセージが表示されます。

そのとき、各端末に何か曲が保存されている場合は、ミュージックを「結合」するか、ライブラリを「置き換える」かの選択肢が表示されます。

さて、長らくこの選択肢の意味がわからず、暇をみつけては検証していたのですが、このたびやっとその意味、機能、違いを自分なりに把握できましたので、ここで説明させていただきたいと思います。

細かいことは抜きにして、調べてわかったことだけを、端的に記します。

「iCloudミュージックライブラリ」という実体のないものをなかなかイメージしにくい方は、次の記事も参考にしてみてください。


iOS 8.4のiPhone・iPad、iTunes 12.2.1で確認した情報です。見落としがある場合は記事を訂正し、この欄に更新情報を掲載します。
※2015年7月21日、勘違いしていた部分を訂正しました 


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「結合」と「置き換え」の機能と意味

「結合」と「置き換え」の違いは、iPhone、iPad、iPod touch、Mac、Windowsなど、デバイス間で「iCloudミュージックライブラリ」内の情報とコンテンツを、どうやって同期させるのかの違いです。 

デバイス間で同期される情報とコンテンツとは次のようなものです。
  1. iTunesでリッピングしたCDの楽曲データ
  2. iTunesで追加した独自のアートワークや楽曲情報
  3. iOSデバイスから作成した独自のプレイリスト
  4. Apple Musicから追加した曲やアルバム
  5. Apple Musicから追加したプレイリスト
  6. iTunesでストアから購入した曲やアルバム
  7. iOSデバイスでストアから購入した曲やアルバム
一見、たくさんあるようですが、My Music(マイミュージック)内の曲を操作するデバイスが複数あるためです。要約すれば、単純に「曲、アルバム、プレイリスト」が同期されると思ってください。

確認した限り、この選択肢は、iOSデバイス内に何か曲が保存されているときに「iCloudミュージックライブラリ」をオンにすると表示され、次のような機能があります。
  • 結合……上記のような「曲、アルバム、プレイリスト」を、各デバイス間で「iCloudミュージックライブラリ」に結合させながら、同期させていきます。
  • 置き換え……上記のような「曲、アルバム、プレイリスト」が保存されている「現在のiCloudミュージックライブラリの内容」によって、各デバイスのライブラリを置き換えます。
最初にこれらの選択肢を選んだときに、デバイスの「曲、アルバム、プレイリスト」を選択した条件で同期します。

さて、こう書いても、わかりにくいと思いますので、以下それぞれ図で説明します。どちらも、「iCloudミュージックライブラリが中心にある」ということを念頭において読んでみてください。

「結合」を選択した場合の同期のしくみ

タップすると拡大します。この図は、iOSデバイスで「結合」を選択した場合の同期の流れです。実際の同期処理はもっと複雑ですが、ここでは思いっきり単純化してあります。仮に、丸数字の1〜3の順番に「曲、アルバム、プレイリスト」が同期されていくとします。

1.iTunesから4曲入りの「アルバムA」がアップロード&マッチングされた状態で「iCloudミュージックライブラリ」に保存されます。

2.iPhoneには別の「アルバムB」のうち2曲が保存されていますが、未同期の状態です。で、この段階で「結合」を選択すると、iPhoneの「アルバムB」が「iCloudミュージックライブラリ」に追加(結合)されます。

これで「iCloudミュージックライブラリ」の内容が「アルバムA」の4曲、「アルバムB」の2曲が結合された状態になりました。で、この結合されたライブラリが即座に、同じApple IDで関連づけられたデバイスに同期されます。

3.iPhoneとiTunesの両方のライブラリが「アルバムA」「アルバムB」の集合体に変わりました。各端末にもともとあった曲はローカルのままで、新たに追加(結合)された曲がオンライン上の曲として表示されます。

こうして文字にすると長いですが、実際にはほんの数秒の出来事です。仮にiPhoneで「アルバムC」をストアから購入したり、For Youから追加したりすれば、その内容も「iCloudミュージックライブラリ」を通して、iTunesにも反映されます。逆もまた同様です。

というわけで、上図の流れを、そっくりそのままiPhoneとiTunesで再現し場合、どんなふうに同期されるのか実例を示しましょう。

「結合」による同期の実例

結合置き換え01
iTunesには「アルバムA」があり、4つの曲が保存されています。

現在、「iCloudミュージックライブラリ」には、iTunesからアップロードされた「アルバムA」の4曲だけが保存されている状態です。

結合置き換え02
一方、iPhoneにはストアから購入した「アルバムB」があり、2つの曲が保存されています。曲はダウンロードされた状態です。

iPhoneとiTunesのライブラリは食い違っていますが、iPhone側で「結合」を選択することで、両者のライブラリが結合されます。

結合置き換え03
この状態でiPhoneの「設定」→「ミュージック」→「iCloudミュージックライブラリ」をオンにすると、ローカルとクラウドの曲が食い違っているため、選択肢が表示されます。「結合」を選択します。

結合置き換え04
すると、まさに図の通り、この時点でiPhoneにはなかった「アルバムA」の4曲が追加(結合)されました。実データがダウンロードされるわけではなく表示のみです。曲はストリーミング再生が可能です。

結合置き換え05
と同時に、iTunesには元々なかった「アルバムB」の2曲が追加(結合)されました。こちらも雲のマークが付いているように、実データがダウンロードされるわけではなく表示のみです。そのため、同期が早く終わるわけですね。

このように「結合」を選択すると、一方の端末に保存された曲が「iCloudミュージックライブラリ」に結合され、それぞれの端末にまったく同じ状態で表示されます。For Youのおすすめのプレイリスト、Apple Musicで見つけた曲、新たにiTunesでリッピングしたCDなど、一方の端末で「iCloudミュージックライブラリ」に追加したコンテンツが、他の端末にもすぐに表示されるようになります。

「結合」はダイナミックで、効果のわかりやすい同期方法です。

「置き換え」を選択した場合の同期のしくみ

こちらもまず、思いっきりシンプルな図で同期の流れを見てみましょう。仮に、丸数字の1〜3の順番に「曲、アルバム、プレイリスト」などが同期されていくとします。

結合置き換え13

1.
まず、iTunesから4曲入りの「アルバムA」がアップロード&マッチングされた状態で「iCloudミュージックライブラリ」に追加されます。
 
2.iPhoneには別の「アルバムB」のうち2曲が保存されていますが、未同期の状態です。で、この段階で初めて「置き換え」を選択すると、iPhoneのライブラリが現時点での「iCloudミュージックライブラリ」の内容で置き換えられます
 
3.iPhoneにもともとあった「アルバムB」が消え、iCloudとまったく同じ「アルバムA」のみのライブラリに置換されました。

iPhoneから曲が消えるので、「あれ?」と思われるかもしれませんが、これが「置き換え」です。すべてはその時点での「iCloudミュージックライブラリ」の内容が最優先されます。

とはいえ、最初の段階でiTunesでアップロード&マッチングを行っていたとすれば、その時点で「iCloudミュージックライブラリ」には、母艦のコンテンツがそっくり保存されていることになります。ですから、母艦のライブラリでiPhoneのライブラリを置き換えたとしても、消えるコンテンツはほとんどないといえます。また、各デバイスから新規で追加した曲やプレイリストはiCloudに保存されるため、初回にオンにしたときに影響が出る以外は、結果的に「結合」と同期のされ方は変わらないため、ほとんど区別はつきません。

というわけで、上図の「置き換え」の流れを、そっくりそのままiPhoneとiTunesで再現し場合、どんなふうに同期されるのか実例を示しましょう。

「置き換え」による同期の実例

結合置き換え06
現在、iTunesには4曲入りの「アルバムA」のみが保存されており、それらがアップロード&マッチングされている状態だとします。

つまり、現時点での「iCloudミュージックライブラリ」には「アルバムA」の4曲のみが保存された状態です。

結合置き換え07
一方、iPhoneには以前iTunesからケーブル同期した「アルバムB」の2曲のみが保存されています。

結合置き換え08
この状態でiPhoneの「設定」→「ミュージック」→「iCloudミュージックライブラリ」をオンにすると、ローカルとクラウドの曲が食い違っているため、選択肢が表示されます。「置き換え」を選択します。

結合置き換え09
すると、まさに図の通り、iPhoneのライブラリがiCloudの内容で置き換えられました。もともとあった「アルバムB」が消え、「アルバムA」のみになりましたが、実データがダウンロードされるわけではなく表示のみです。

結合置き換え10
iTunesはまったく変化はありません。というのも、最初の段階で、iTunesライブラリと「iCloudミュージックライブラリ」が同じ状態であったためです。

「結合」の場合は、おのおのの端末にあるローカルファイルをカタログとしてライブラリ上で統合していたのに対して、「置き換え」の場合は、各端末にあるローカルファイルではなく、あくまでも現時点での「iCloudミュージックライブラリの内容」が優先されます。

けっきょく「結合」と「置き換え」はどっちを選べばいいの?

「結合」がおすすめです。

「結合」は、どのデバイスから曲を追加しても、すぐに他のデバイスにも同期され、まったく同じライブラリを維持できるからです。一方で追加した曲やプレイリストがダイナミックに各デバイス間に追加されていくので、効果もわかりやすいです。

だたし、iOSデバイスで「結合」か「置き換え」のどちらを選んでも、あとになってiTunesで「iCloudミュージックライブラリ」を更新すれば、選択肢とは関係なしに、母艦の膨大なライブラリがiOSデバイスに同期されます。そして、Apple Musicを使い続けていくうちに、「iCloudミュージックライブラリ」の内容は充実していきます。そうなると、最初に「結合」か「置き換え」のどちら選んだとしても、たぶんほとんど違いには気づかないのではないでしょうか。

いちおう、私なりに答えらしきものを出してみましたが、だいだい合っていると思います。間違っていたらスミマセン。訂正します。Appleがもっとわかりやすく説明してくれればいいんですが、サポートページにもたいしたことは書かれていません。独自検証になりますが、皆さんの参考になれば幸いです。


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